現物商品取引会社のTrafiguraとデータ分析に特化したソフトウェア開発会社のPalantir Technologiesは、商品サプライチェーン全体の炭素排出量を計算・報告するための技術サービスプラットフォームの開発を目的とした新しいコラボレーションを開始したことを5月24日に発表しました。
この提携は、企業の持続可能性への取り組みが、影響やESGリスクの主要な原因となることが多い企業のサプライチェーンに焦点を当てるようになってきたことを受けたものです。例えば、多くのセクターにおいて、企業が直接コントロールできないバリューチェーンの排出、すなわち「スコープ3」の排出が、気候への影響の大部分を占めることが多くなっており、企業は、自社の持続可能性目標を達成するために、製品や活動の二酸化炭素排出量の透明性をサプライヤーに求めるようになってきています。
Trafiguraの取締役会長兼CEOであるJeremy Weir氏は、次のように述べています。
「当社の顧客は、Scope3排出量報告書の規制や、より一般的なネットゼロの準備のために、当社が輸送する商品のライフサイクル排出量の可視化を求めるようになってきています。商品サプライチェーンは複雑なため、業界全体で強固な協力体制を築き、意味のある意思決定と変革を可能にする技術的なソリューションが必要です。」
この新しいプラットフォームは、サプライチェーン全体における商品の生産、加工、輸送から生じる排出量の透明性を高めることを目的としており、参加者は自社の間接業務に関連するライフサイクル排出量をより良く把握し、他の参加者とベンチマークし、低炭素化経路の機会を強調できるようにします。
このコラボレーションは、過去1年間に両社が行った作業に基づいており、実際に出荷された商品を用いて、何百万もの炭素経路のシナリオをモデル化する初期段階のパイロット版を開発しました。このプロジェクトでは、まず原油と精製品、精鉱と精錬金属から始まるサプライチェーン全体の炭素強度を計算する予定です。
Palantir Technologies社の共同創業者兼最高経営責任者であるAlexander C. Karp氏は、次のように述べています。
「最も差し迫ったグローバルな課題の多くに対処するのに必要な集団的行動は、決意や政治的優先順位の転換以上のものを必要とします。そのためには、データに基づいた事実の理解を共有することが必要です。私たちは、業界やセクター全体の機関が協力し、運営する世界をモデル化できるようにすることで、その共通の理解を提供するソフトウェアプラットフォームを構築しました。」