プライベート・エクイティへの新しい排出量開示基準が発表される

気候変動に焦点を当てたプライベート・エクイティ・コンソーシアムである Climat Internationalは、サステナビリティ・アドバイザリー会社ERMと共同で開発した、プライベート・エクイティ部門の温室効果ガス（GHG）排出量の会計と報告のための新基準に関する報告書を5月10日に発表しました。

報告書によると、排出量の報告やポートフォリオの気候変動目標設定に対する圧力は年々増す傾向にありますが、多くのプライベートエクイティ企業は炭素会計、目標設定、ベンチマーキングに関する強固なプロセスを有していません。

報告書では、GHGプロトコルや、金融機関の排出量測定・報告機関であるPartnership for Carbon Accounting Financials（PCAF）のグローバルGHG算定・報告基準の原則を適用し、プライベートエクイティ企業の業務や投資活動に直接適用できるカーボンフットプリントデータの収集・算定・報告のアプローチを推奨しています。

ERMグループのCEOであるTom Reichert氏によると、この新しい基準は、「排出量の計算と開示について、より一貫性があり合理的なアプローチを可能にし、ポートフォリオ全体の排出量を把握し削減しようとするプライベートエクイティ企業を支援するものである」といいます。

本報告書では、プライベートエクイティおよび各投資先企業のScope1、2、3のGHG排出量の算定（排出源の特定、様々な排出範囲のデータ収集、バリューチェーン排出量の関連性と重要性の評価、算定方法など）、融資による排出量の計上、帰属、算定、排出量データの公開や関係者への報告・測定基準などの主要トピックが網羅されています。また、排出量削減の取り組み、目標設定、ネット・ゼロへの整合性、GHGデータの管理と報告の保証と検証に関するガイダンスも含まれています。

この報告書は、責任投資原則（PRI）の支持を受け、環境情報開示プラットフォームCDPと持続可能性に焦点をあてた非営利団体セレスによって承認されました。

責任投資原則のプライベート・エクイティ部門責任者であるPeter Dunbar氏は、次のように述べています。

「融資された排出量の測定と報告に関して、プライベート・エクイティという資産クラスは、依然として公的な市場に大きく遅れをとっています。この素晴らしいガイダンスは、プライベート・エクイティのESG専門家に既存のグローバルスタンダードに基づく青写真を提供し、GHG排出量報告の質を向上させるのに役立ちます。この改善は、プライベート・エクイティ企業から質の高い報告が得られないことが多い資産家に利益をもたらし、この資産クラスが公的市場とのギャップを縮めることを可能にするでしょう。」