電源開発株式会社(Jパワー)は2022年6月28日に開かれた、第70回定時株主総会の決議事項を6月29日に発表した。この報告で機関投資家世界大手3社とNGO機関から提出された気候変動に対する3事案が反対多数で否決されたことが明らかになった。
2022年5月、ヘッジファンド世界最大手イギリスのマン・グループ、資産運用世界大手フランスアムンディ、イギリスHSBCアセット・マネジメントの3社とオーストラリアのNGOが合同で、カーボンニュートラルの強化を求めた事案を提出していた。
具体的な株主提案の1つは、「温暖化ガス排出量削減に係る事業計画の策定、また公表を行う旨の規定追加」、2つは「設備投資と温暖化ガス排出量削減目標との整合性に係る評価の開示を行う旨の追加」、3つは「報酬方針が温暖化ガス排出量削減目標の達成をどう促進するかの開示を行う旨の規定の追加」を求める事案であった。しかしこれら全て、25%以下の賛成率で否決された。
総会の出席者の一人、仏アムンディの担当者はJパワーの脱炭素戦略の不透明性を指摘し、財務リスクに直面していると言及している。また、同担当者は、Jパワーの脱炭素目標が世界的な温暖化の枠組みである「パリ協定」に沿った計画の立て直しを求めていた。一方Jパワーは「エネルギーの安定供給と気候変動の両立が企業価値向上に必要」として反対をしていた。
関西電力も同日株主総会を開催したが、大阪市、京都市、神戸市が株主として共同提供していた、「原子力発電の代替として、水素など多様なゼロカーボンエネルギー源の導入や新たな発電事業の積極的な推進」を定款に追加する事案を含めた、脱原子力等の株主提案を全て否定したことが発表された。