日本の大手保険会社3社 東南アジア石油火力事業 巨額保険引受

2022年6月上旬、環境NGOと国際ネットワーク「Insure Our Future」と、韓国の環境NGO「Solutions for Our Climate」が石炭事業を引き受ける保険会社の調査を行い、その結果をまとめた報告書「Exposed: The Coal Insurance of Last Resort」によって、日本の大手損害保険会社3社が最後の引受を担っていることが公表された。守秘義務により、保険引受社を特定することは一般的には困難とされているが、今回公表された報告書は、韓国国会議員によって提供された資料をベースに、韓国電力公社 (KEPCO)が関与する石炭火力発電事業を引き受けている保険会社の全貌を明らかにするものであった。

2021年10月に保険契約が締結された、ベトナムのブンアンにおける石炭事業においては、MS&AD、東京海上、SOMPOの3社が上位を占める巨額の保険引受を担っており、その額は全体の46%におよぶ。同年の6月にMS&ADは「今後計画される石炭火力発電所の保険引受や投融資を行わない」ことを発表しているが、この報告書に対しては現時点で交渉に入っている事業については無効であるとし、石炭に対するフェーズアウトについて積極的な姿勢を示さない言動となった。さらに東京海上、SOPMOともに20121年、2020年に石炭火力発電事業の新規引受には原則関わらないと発表していた直後であった。

ベトナムのブンアン発電所に止まるらず、KEPCOが関与した5つの石炭火力発電事業のうち、フィリピンのセブ・ナガ発電所、ベトナムのギソン発電所、インドネシアのジャワ9・10発電所においても、上記3社全て、又はいずれかが保険の引受を行っていいることが分かっている。

気候変動気温上昇を1.5℃に抑えることや気候変動リスクについて長年危機管理者として役目を担っている保険会社。その一方で、今回のように石炭事業に関する方針を示さない大手企業がまだ存在している。パリ協定採択以降、国際的な大手保険会社が石炭火力発電所の建設や稼働事業から撤退を表明する中、石炭、石油、ガス事業は保険なしには閉鎖へと追い込まれるため、保険契約により高コストをかけてでも、契約を結んでいるのが現状である。

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