概要
トヨタ自動車は、企業としての役目を「世界中の人を幸せにするモノやサービスを提供すること」、「幸せを量産すること」として、誰かの幸せを願い、行動することを目指している。グローバル企業として、国際社会と強調しながら、事業活動を通した持続可能な地球と社会の発展に貢献する取り組みがなされている。トヨタは、国際機関の規範や、ガイドライン、社内外の視点と社会視点での評価を踏まえて、最も注力すべき6つのマテリアリティの策定をしている。これらは、「人間性尊重、多様な人材の活躍」「安全・安心で良品廉価なクルマづくり」「安定した経営基盤の維持]「未来のモビリティ社会の構築」「気候変動対応と新エネルギーの利活用」「強靭で持続可能なバリューチェーン」の6つである。
環境 (Environment)
トヨタは、環境問題に対して一人ひとりが向き合って、将来を見据えた挑戦を可能にするため2015年に『トヨタ環境チャレンジ2050』を策定し、2018年には『2030マイルストーン』を策定、さらにこれらを達成するための5ヶ年目標として『2025年目標』を設定した。『トヨタ環境チャレンジ2050』では、“CO2 ゼロ”そして“プラスの世界”を目指した6つのチャレンジに細かく分かれている。前者の方ではライフサイクル全体のCO2排出ゼロ、新車のCO2排出90%減(2010年比)、グローバル工場CO2排出ゼロが掲げられ、後者の方では水使用量の最小化と排水の管理、リサイクルの技術、システムのグローバル展開、自然保護活動の輪を広げ未来につなぐことを目標に掲げている。この2050年に向けた目標を実現につなげるために、2025年、2030年と段階的なステップを踏んで取り組む体制が築かれている。2016年から2020年までの成果も現れていて、研究や開発に関わる日本全国の拠点で再生可能エネルギーへの100%シフトや、リサイクルプラジェクトのグローバル展開などを行った。
『国内のGreen Wave Project』
トヨタは、オールトヨタ自然共生ワーキンググループを2016年に設立し「地域をつなぐ自然共生活動」を行ってきた。これらの活動の中には、主に国内において植樹、森林保護、生態系保護、環境学習や、自然と共生する工場などを目指した物が多くある。これまでに18万人もの参加者と、日本中でおよそ9800ヘクタールの森林を守るなどの成果が現れている。
『海外での様々な取り組み』
世界各国に工場や研究所の拠点を持つトヨタは、グローバルに環境面での取り組みを行なっている。これらの取り組みの例として挙げられるものは、植樹や再生可能エネルギーの導入、海洋域の清掃、野生生物の保全、カーボンニュートラルにフォーカスした車種の開発などがある。北米統括事業体であるトヨタ・モーター・ノース・アメリカ(TMNA)は、2035年のカーボンニュートラルに向けて太陽光発電事業者と提携を結んだことや、風力発電所の共同開発を手掛けたこともあり、カーボンニュートラル化に向けた動きが加速している。米国のオンサイト太陽光発電設備容量トップ20(太陽エネルギー産業協会調べ)に入ると認識されている。
社会 (Social)
トヨタは、社会面に対する取り組みとして、安全や品質、情報プライバシーの確保を始め、従業員やステークホルダーの人権や多様性の尊重、そしてビジネスパートナーとの協力や社会貢献活動を通して、より良い、持続的な社会の貢献に取り組んでいる。自動車運転における安全性と健康の保持、セキュリティの保護、そして品質に対してはトヨタ独自の監視システムや、方針、そしてアバナンス体制がとられ、重点的な整備と調査が定期的に行われている。また、国内のみならず国外の従業員に対する健康とやりがいの提供は、様々な行動計画やプロジェクトにより、社会面での向上促進が図られている。
『Mobility for All』
トヨタ自動車は、LIXILと共同で移動型バリアフリートイレ「モバイルトイレの」開発に成功した。まだ十分と言えない公共施設でのバリアフリートイレの促進を図るため、モビリティーカンパニーとして事業を進めるトヨタと、バリアフリーに知見を持つLIXILが共同で移動型のバリアフリートイレを開発したことで、各種イベントやスポーツ観戦などの場に、車椅子使用者の外出する可能性を広げることができた。開発の段階では、パラアスリートや、福祉工学の専門家、被災経験のある自治体関係者、さまざまな理由で車いすを使用することになった方にヒアリングを実施することで、利用者が心地よく利用できるように開発がされた。
また、トヨタは、高齢者向けのシニア校是や、子供に対する交通安全教育などの交通事故者数ゼロ運動の一環として、時代に即した活動を通して安心安全なモビリティ社会の実現に貢献している。
ガバナンス (Governance)
トヨタのコーポレートガバナンス体制は、長年モノづくりに従事し、熟知した社内役員と広い視野を持って新たな価値創造に向けた助言ができる社外役員が、取締役会において平等に意思決定ができる監査役会設置会社の設置によって、中長期的な企業価値の向上を目指している。これまでにない社外環境の変化や、さらに求められる役員に対する役割の明瞭化に対応するために、トヨタは頻繁に、「取締役=意思決定・監督」と「執行役員=業務執行」の位置付けを明確にしたり、コーポレート機能の見直しや、スピードのある経営大勢の構築に取り組んだり、社会情勢に対応した人材の育成を目指したりしている。
『コンプライアンス』
トヨタの基本理念の中には「内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民を目指す」とするものがあり、この実施を図るために、「トヨタ行動指針」を作成し、トヨタの従業員に基本的な心構えと、具体的な留意点を提示した。また、ステークホルダーに対し、税務の考え方や方針をわかりやすく提示する取り組みもなされ、質の高い税務業務の執行を心がけている。