東京海上ホールディングス ESGの取り組み

概要

日本初の保険会社として設立された東京海上日動は、海外での事業も拡大し、欧州やアジア圏で時代の変化に伴う社会課題に沿った保険事業を展開している。同グループは、顧客や地域社会の不測の事態に寄り添う事を会社の存在意義とし、100年後も必要とされる”Good Company”を目指している。事業活動と、社会課題解決の両立を図るため、東京海上ホールディングスでは、2021年に「サステナビリティ委員会」を創立し、会社の存在意義をベースに、取り組むべき8つのマテリアリティを選定している。その8つの項目は、気候変動対策の推進、災害レジリエンスの向上、健やかで心豊かな生活の支援、D&Iの推進・浸透、デジタルを活用したイノベーションの支援・創出、自然の豊かさを守流、子供たちの教育・啓発、適時適切かつ透明性の高い情報開示である。グローバル企業として、同グループは国内と国外で、顧客、社会、社員、株主・投資家、そして未来世代を明確なステークホルダーとして、環境面、社会面、ガバナンス面でのサステナブルな経営に取り組む。

環境 (Environment)

気候変動への取り組み、クリーンエネルギーの普及促進、自然災害への対応、地球環境の保護という4つの主要項目をベースに、環境に対する取り組みがなされている。東京海上ホールディングスは、経営企画部サステナビリティ室を設け、国内と国外のグループ会社の各担当部門においてサステナビリティの推進役であるキーパーソンを指名し、経営層と環境負担の削減に励んでいる。そして、独自に環境マネジメントシステム「緑のアシスト」を導入。毎年環境課題を含む目標を定めている。社員全員参加型の環境負担削減を目指す同グループは、オフィスの省エネや、社員の働き方を見直し、電力や無駄なエネルギーの消費削減に取り組んでいる。また、タブレットの支給や社員食堂でのプラ製品を廃止する事で、資源の節約を図る取り組みもしている。

「カーボンニュートラル」にも取り組む同グループは、2002年から継続して風力やバイオマス発電によるグリーン電力を年間約100万kWh購入する一方で、太陽光発電事業を取り巻くリスクに対するリスクコンサルティングと保険商品を通じた解決策の提供も行っている。

『名古屋東京海上日動ビルディング』

東京海上日動グループでは、同社が所有する各ビルに対して、防災や環境に配慮した取り組みを行なっている。その中に、2013年に竣工した名古屋東京海上日動ビルディングでは、窓の二重化や、全館LED照明の導入に加えて、地域住民も利用可能な多目的ホールや大規模壁面緑化の設置が施されている。これに伴い、一般財団法人日本不動産研究所は、東京海上日動火災保険株式会社が保有するこの建物に対して、BDJ Green Buildingに認証した。

『マングローブ植林プロジェクト』

[出典:東京海上日動 Green Gift HP より]

東京海上日動は、1999年から東南アジアを中心に、「マングローブ植林プロジェクト」を立ち上げ、2020年までにインドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、ベトナム、インド、バングラデッシュ、フィジーの計9カ国で累計11,618ヘクタールの植林に貢献してきた。マングローブの植林活動の背景には、マングローブが持つ環境保全の力にある。マングローブは、「海の森」と呼ばれ地球温暖化の大きな原因と言われる二酸化炭素の吸収効率が良く、地球温暖化の抑制につながる、また、高波や津波、海岸侵食、洪水などの自然災害から人々の生活や生態系を守ことから、「みどりの防波堤」の役割を担っている。

社会 (Society)

社会面での取り組みにおいても、7つの領域をベースしている。それらの項目は、人権の尊重、ダイバーシティ&インクリュージョンの促進、人材の育成・活躍推進、健康経営の推進、安心・安全な社会づくりへの貢献、お客様の視点にあった品質向上、新型コロナウイルス感染症症の対策と対応の領域である。人権に対する国際的な行動方針や、ガイドラインに沿った社員の教育や啓発をはじめ、多様性を受け入れた雇用体制や、カウンセルなどの設置、モニタリングを通したインクリュージョンの促進などがされている。また、新型コロナ感染症の拡大に伴って、保険金の支払いや、ワクチン摂取会場の無償提供などにより、社会インフラの維持に貢献している。

『IFFCO-TOKIO社』

東京海上日場は世界の貧困問題の対応として、インドの農業における保険事業を展開している。インドで全土に3万8千もの農業協同組合組織を持つIndian Farmers Fertilizer Cooperative Limited (IFFCO社)と共同でIFFCO-TOKYO General Co. Ltd.を設立。同国において、自動車保険や、火災保険を始め、天候保険などの販売をしている。天候保険は、モンスーン期やラビ期などインドの農業に影響を及ぼす天候不順によるリスクに対する保険の提供である。この結果、2020年には、農村部の人々の収入が安定し、生活には欠かせないものとなった。

[出典:東京海上日動 2021年 サステナビリティレポート より]

ガバナンス (Governance)

東京海上日動グループは、「事業戦略」「ガバナンス」「社会的責任」3点の取り組みに対する質を高めることを目指し、グローバル保険グループとして透明性が高くレジリエントなマネジメント体制を築く取り組みを行なっている。コーポレートガバナンス体制は、監査役会設置会社を基礎に、任意の指名委員会・報酬委員会を設置するハイブリット型を導入している。

[出典:東京海上日動 HP ガバナンス より]

『ガバナンスの要諦』

ガバナンスの要として同社は、「多様性の推進」と「コア・アイデンティティの浸透」を掲げて、ガバナンスの強化に取り組んでいる。グローバルな知見を持つ多様性溢れる人材をグローバルリーダーとして起用することで、グループ一体経営の強化と柔軟な対応をめざしている。また、多様性を推進する一方で、一つのチームとして結びつけるアイデンティティの重要性が高まる。同社は、グループ共通のカルチャーである “To Be a Good Company”を浸透させている。

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