SOMPOホールディングス ESGの取り組み

概要

400名(2022年現在)を超える従業員を抱えるSOPMOホールディングスは、顧客はもちろん、社員、投資家、取引先、代理店と、それぞれのステークホルダーに対してサステナビリティーの取り組みを行なっている。損保ジャパンは、2006年、国連の責任投資原則(PRI)立ち上げ時から日本の保険会社としては初めて署名をしている。同社はESGの取り組みとして、気候変動、人権、地域社会など多岐にわたるアプローチに取り組んでいるが、中でも環境問題に対する活動は特に重視されている。そして、企業内のE S G経営はもちろん、同社が行う投融資や保険引受に対してもE S Gへの配慮を促進させることで、持続的な社会の実現を目指している。

 

具体的な取り組み

ESG投資

SOPMOホールディングスは主にアセットマネジメント事業(SOMPOアセットマネジメント)を通じて、持続可能なインベストメントチェーンの構築を目指すESG投資を行なっている。株式投資などで預かる資産運用の仕組みは、投資価値評価とESG要素の二重プロセスを踏むことで、中長期的な投資収益の獲得を目指している。また、サステナビリティを目指して、投資先と行われる対話議決権行使の実施などの、スチューワード活動を推進する「責任投資推進室」の新設と、専任の「ESGスペシャリスト」を新たに配置している。主な具体的な投資実績としては環境債(グリーンボンド)や社会貢献債(ソーシャルボンド)が挙げられる。グリーンボンドは、温室効果ガスの削減や、脱炭素社会への移行を促進させる再生可能エネルギー事業への投資をすることで、環境に配慮した責任投資を追求している。また、ソーシャルボンドを通して、基礎インフラの開発や、途上地域の経済、社会の発展に貢献をしている。

ESG経営

環境 (Environment)

SOMPOホールディングスが行う環境の取り組みは、ESGランキングの得点評価で満点を獲得するなど、特に力を入れている項目である。同社は、環境の項目で、“気候変動への適応と、緩和、社会のトランスフォーメーション”を目指している。

  • 適応:環境への適応に関する取り組みは、持続可能な農業への貢献や防災、減災に関する商品開発などがある。
  • 緩和:目標として、グループの温室効果ガスの排出量を2050年までにゼロにするという目標を掲げ、再生可能エネルギーの普及や、生物多様性の配慮、クリーンエネルギー促進に関する商品開発や新事業を展開している。
  • 社会のトランスフォーメーション:同社では、環境問題や、サステナビリティーの関心を高める事や、直接的に貢献する社会の構築にも力を入れており、地域の環境団体やNPOとの協働プロジェクト立ち上げや、生物多様性の保護活動などを展開している。
『AgriSompo』
[出典:損保ジャパン 海外での保険商品・サービスの提供 より]

重要課題である地球環境問題への対応として、SOMPOホールディンクスは、農業保険のグローバル統合プラットフォーム『AgriSompo』を展開し農業マーケットにおいて保険を提供している。『AgriSompo』は農家・農業事業者、農業保険会社に対して統一的な基準で保険引受(アンダーライティング)を行い、専門知識と技術の提供をすることで、世界の農業分野の発展に貢献している。この取り組みの一例に東南アジアで展開されている『天候インデックス保険』がある。気候変動を受けやすい農業が主な産業である東南アジアで、農業経営リスクの軽減を目的に保険商品が開発された。これは、気温、風量、降水量などの天候指標が、事前に定めた一定条件を満たした場合に定額の保険金が支払われる保険商品である。タイでは、タイ農業協同組合銀行(BAAC)と協働し稲作被害の干ばつ被害に悩む農民が安心して加入できるスキームを構築した。ミャンマーでは米農家とゴマ農家を対象に、干ばつリスクの軽減に対応した保険を開発し、地球観測衛星から推定された雨量データを活用している。これらの取り組みは国連開発計画(UNDP)が主導する、商業活動と持続可能な開発を両立するビジネスモデルの構築を促進する「ビジネス行動要請(BCtA)」に、2015年に認定された。今後も気候変動の「適応」策としての保険商品の開発・普及を進めるとともに、対象作物の多様化や他国への展開を幅広く検討している。

社会 (Social)

ダイバーシティー、インクリュジョンを重視した経営戦略を基に、一人ひとりの個性と人権を尊重する職場づくり、社会づくりを目指している。人権の尊重への取組みとして、同社は「人権尊重推進本部」の設置、「社員相談ホットライン」の創設に踏み出した。この体制を作る事で、社員の基本的行動規範の啓発や、現場の生の声を真摯に受け止めることに努力している。

ダイバーシティー、インクリュージョンに関しては、特に女性と障がい者の活躍の推進に取り組んでいる。同社は、2030年度末までに全体女性管理職比率を30%以上と設定し、女性育成プログラム等の起用を進めていった結果、2021年3月末時点の女性管理職数は1,384名、管理職に占める比率は24.2%となっている。これらの取り組みが評価され、経済産業省や東京証券取引所などの外部から高く評価されている。子育ての支援として、損保ジャパンは本社ビル内に、企業内保育所の開設をした事で、待機児童問題の解決にも貢献している。

また、同社は全国各地で障がい者の採用を促進し、活躍できる職場づくりに力を入れている。例として、損保ジャパンでは、管理職向けのマニュアルを提供したり、全国に障害者職業生活相談員を配置し、障がいのある社員の相談対応と働きやすい職場づくりのためのサポート等を行う体制を整えたりしている。この他にも、仕事とプライベートの両立を支援する様々な制度も導入されている。

『コミュニティづくり』
[出典:SOMPOホールディングス サステナビリティ関連資料 より]

SOMPOグループが行う社会への貢献は、地域のコミュニティー構築と、ダイバーシティの促進に注力されている。Sompo Digital Lab の設置によるデジタル革命をはじめ、地方自治体と環境・SDGsに関する連携を結んでいる中、モビリティサービスの利便性向上にも貢献している。同社は、2019年に駐車場シェアリングサービスの最大手である akippaを関連会社化し、“シェアリング事業“の促進に取り組んでいる。そして、損保ジャパンは、オーナーとユーザーの双方が安心してできるような新たな保険の検討を、akippaと共同で開発した。

『ダイバーシティの促進』

新型コロナウイルスの感染拡大により、「場所を問わない働き方」への変換を目指している。国内拠点では、2020年3月より「原則在宅勤務」の導入を図り、社員全員が高い生産性を意識した働き方を促進するとともに、それぞれの持つ能力を最大限に発揮できるようなワークルールの改定に取り組んでいる。さらに女性活躍推進に力を入れる同社は、「Diversity for Growth」をスローガンにダイバーシティの推進に取り組み、各社で独自のプログラムを実施している。また、男女ともに仕事と生活の調和を図りながら働き続けられる職場づくりの重要性を考え、2015年にNPO法人ファザーリング・ジャパンが設立した「イクボス企業同盟」に加盟した。

ガバナンス (Governance)

[出典:SOMPOホールディングス コーポレートガバナンスの概要 より]

SOMPOホールディングスでは、コーポレート・ガバナンスの透明性と公平性を継続して向上する事で、企業の社会的責任を果たし、全てのステークホルダーとの信頼関係を強化することが重要視されている。主なガバナンスの方針改革としては、2019年の指名委員会等設置会社への移行である。任意の指名、報酬委員会等を有する会社設計であった従来の組織携帯からの変更は、経営の監督と執行の立場と役割の明確化によって両機能のさらなる強化が図られている。また全体組織の統治改革に加えて、役員報酬などの情報開示を始め、投資家、ステークホルダーへの説明、対話、役員に対するコンプライアンス教育の実施に取り組んでいる。

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