概要
半導体製造装置や、プリント基板関連機器、グラフィックアーツ技術などの事業を展開する株式会社SCREENホールディングスは、グループ全体でサステナブルな企業を目指している。その実現に向け、CSR憲章を定めたり、ESGの取り組みを明確にしたりしている。重要課題の策定はその一環であり、同グループはさらに、ESG経営の実効性を高めるための「Sustainable Value 2030」推進体制の確立もしている。グループの委員会は、SCREENグループ各社の責任者が参加し、情報共有と連携を図る横断的な取り組みの促進を図っている。その例として、「CSR委員会」の設置による従業委員の規範的行動の実践、SDGsへの対応、社会貢献の推進に取り組み、「グループリスク委員会」ではSCREENグループ全体に内在するリスクとその状況の把握、リスク管理の方向性を定めると共に、リスク顕在化の予防に取り組んでいる。そして、「グループEHS委員会」では、サステナブル経営担当役員を管理統括者とし、SCREENグループにおける環境・安全・健康に関する社会的または内部的な課題や問題点を共有し、継続的な改善に取り組んでいる。EHS委員会は、環境問題に対する意識の高まり、作業安全リスクの増大、従業員の健康管理の複雑化や災害によるサプライチェーンの中断といった様々なリスクのマネジメントを担う役割をし、E (環境経営) H (健康経営) S (防災安全)を統合している。
環境 (Environment)
SCREENグループは、ESG経営の環境面に対する取り組みとして、主に5つの項目を重要視し、環境問題を社会の持続可能な発展への本質的な課題として捉えている。「人と地球に優しい環境形成」を意識した事業活動として、同グループは気候変動、資源の有効利用、汚染の予防、グリーンプロダクツ、生物多様性保全、それぞれの取り組みを行なっている。気候変動においては、同グループ事業における様々な場面での二酸化炭素排出量を減らす努力を行なっている。また資源の有効利用として、水の取水量を2024年までに2019年比、5%削減することや、廃棄物削減に向けて、事業所内での収集・運搬から最終処分に至るまで全ての委託策を定期的に訪問し、適切な処理処分が実施されていることを確認している。そして、環境性能が高い製品、グリーンプロダクトを独自の技術と基準で開発し、省エネルギーを促進している。そして生物多様性保全における取り組みでは、「SCREENの森」保全活動を進めている。これは、公益社団法人京都モデルフォレスト協会、京都府、亀岡市そして宮前町宮川区と協働して、京都角森林を守り育てる活動への参画により、同グループの従業員がボランティアとして参加する整備活動を計画的に実施している。
『調達部品共同配送によるCO2排出量の削減』
SCREENグループは、製造工程によるCO2排出量削減のため、同業他社である複数のサプライヤーの部品を共同で配送する仕組みや、各社が自社トラックなどを利用して別々に輸送していた大型ユニットを当社管理のトラックで輸送を行う便などの導入により、物流の効率化と共に、222tのCO2排出量削減に成功した。
社会 (Social)
SCREENグループは、良き企業市民として、一人ひとりの人権を尊重した良識ある企業活動を展開し、その一環として従業員のマネジメント、人権の尊重、安全衛生と健康経営、様々なステイクホルダーとの取り組みがあげられる。
同グループは、中長期経営計画として「Value Up 2023」の策定をした上で、イノベーションの創出の源泉となる挑戦の風土醸成と、企業の持続的成長を通じた社員個人の成長実感を見いだせる企業体の実現を目指している。この中長期経営計画の中でも社会的価値向上の中期計画「Sustainable Value 2023」を定め、多様な人材の成長を促す教育と環境の充実を目標にし、社員に対するクリティカルシンキングやコーチングの研修と教育を通して社員の主体的な姿勢を支援している。また、安全衛生と健康に関しては、「休業4日以上の老災害件数ゼロ」と健康的な職場環境の整備と疾病の予防のために「疾病休業の低減」に関する目標を定め、社員の健康管理に努めている。
『ダイバーシティーへの取り組み』
SCREENグループでは、国内での女性や留学生の採用拡大、海外拠点での外国人の採用拡大による人材の多様化に力を入れている。そして、多様な個性を持つ従業員に対して、それぞれのライフステージにあった働き方を提供している。男性の育児参加は特に、仕事と育児の両立を図る目的に、配偶者育児休暇を原則義務化している。近年では、男性社員の育児休業取得も増加していて、両制度の利用率は92%となっている。これらの他にも、介護休業等による補助金の給付やフレックスタイム制の導入、勤務終了から翌日の勤務開始まで9時間以上の休息時間を確保する制度を取り入れている。
ガバナンス (Governance)
SCREENグループは、「未来共有」「人間形成」「技術追求」の企業理念のもと、透明性、健全性と効率性を追求したコーポレート・ガバナンスの充実を図っている。
同グループのコーポレート・ガバナンス体制は、監査役会設置会社であり社外取締役4名を含む計8名の取締役会、社外監査役2名を含む計4名の監査役会で構成され、会計監査人も置いている。持株会社として経営する同グループは、主要4事業に関しては機動的かつ大胆な事業執行を可能とするため、事業会社としてそれぞれ分社している。
『CSR憲章』
SCREENグループは、「CSR憲章・行動規範」に全役員・従業員が心がけるべき行動規範を定め、コンプライアンス、人権の尊重、製造責任や、サプライチェーンにおける行動指針として実践し企業の社会的責任を果たし、社会の期待に答えていく。そしてこの教育を通じて国籍や、人種、心情、性別などの多様性の尊重や重要性についての啓発活動も行っている。