オムロン株式会社 ESGの取り組み

概要

大手電気機器メーカーのオムロンは、日本のみならず120の国でサービスの展開を手掛けるグローバル企業である。「企業は社会の公器である」との、基本的経営スタンスを軸に、長期ビジョンを掲げ、ステークホルダーと責任のある対話を通じて、社会課題を解決していける真のグローバルメーカーを目指している。CSR活動にも積極的に取り組んでいる同社は、責任者は取締役会議長の同社会長が務め、事業活動と一体となった取り組みを推進している。

環境 (Environment)

オムロンは、地球温暖化防止、持続可能な資源の利用、環境汚染の防止をEnvironment(環境)の三本柱として取り組んでいる。温室効果ガス排出量の削減、化学物質の適正な管理と削減、廃棄物の削減、水資源の有効活用に注力をしている。同社は、『環境ビジョン グリーンオムロン2020』による、環境問題への方針と目標設定をしている。特に重点的に取り組まれている内容は、温室効果ガスの削減と、化学物質の適正な管理と削減である。オムロンは、2050年までに温室効果ガスの排出量ゼロを目指し、『オムロン カーボンゼロ』を目標に掲げ、再生可能エネルギー由来の電力調達や、『省エネポテンシャル診断』などのサービスを始め、様々な施策を施している。これは、生産拠点のエネルギー損失リスクや、エネルギー効率向上の機会を把握し、具体的な立案、効果、費用を試算するオムロン独自の取り組みの一環である。また、化学物質の管理では、世界各国で水銀式の体温計と血圧計を電子体温計と電子血圧計に置き換える活動を継続している。自社で利用した工場排水も、ビオトープに利用され、イチモンジタナゴの保護と養殖が行われている。

[出典:OMURON HP ニュースリリース 2011年 より]

『電力使用のクリーン化 太陽光発電』

同社の各拠点敷地を回り、太陽光の土台を設置できる丈夫な屋根やスペースの調査を行い2020年までに、日本全国に6つの太陽光発電システムの導入を可能にした。また海外拠点では、オランダでの風力発電由来の電力調達と、中国での自社敷地内の太陽光発電システムからの電力利用が進んでいる。

社会 (Social)

社会分野の取り組みは、製品責任、人権・労働、企業市民活動の3点に重点を置いて取り組みが促進されている。製品責任の具体的な例としては、「品質基本方針」の制定による、国際規格の要求事項をベースとした 品質マネジメントシステムの確立が挙げられる。人権の面では、2017年にサステイナビリティ推進の重要課題の一つに人権の尊重と労働慣行を掲げ、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を尊重した、人権デューデ リジェンスのプロセス構築や全生産拠点での人権リスク分析・是正を進めている。個人の基本的人権の尊重をはじめ、いかなる差別や人権侵害も行わないことを宣言し、人権の対応方針を定めた『サステナブル行動ポリシー』を策定している。また、 “人間の可能性を信じ続ける”という企業の価値観を具現化するためにも、「ダイバーシティとインクルージョン」にも力を入れた取り組みがされている。女性管理職の比率や障がい者雇用率の向上に加え、国籍・宗教・婚姻の有 無・性別・性的指向または性自認・障がいの有無等に関わらず、多様な人財の活躍機会の拡大などがその一環に挙げられる。

さらに同社は、サステイナブル行動ポリシーに社会貢献活動について定め国や地域にあった社会貢献活動に取り組んでいる。2020年度は、自主プログラム(自社が独自に実施する社会貢献事業)のほか、科学技術分野や社会福祉分野、災害支援など多分野に対し、総額4億9千万円を社会貢献支出として拠出。寄付条件を客観的に厳しく評価した上で、オムロンは、障がい者など制約のある人々のQOL(生活の質)の向上と、社会参画に関わる事柄に優先的に寄付している。

『障がい者の活躍促進』

1972年、オムロンは障がい者が働く福祉工場として「オムロン太陽」を「社会福祉法人太陽の家」とともに設立して以来、障がい者の働く喜びと生きがいのある社会を目指し、事業を通して雇用機会の拡充等の取り組みを行なってきた。2021年には、障がい者の活躍推進に取り組む国際イニシアティブ「The Valuable 500」に加盟をした。これは、2019年にダボス会議で発足したもので、ビジネスリーダーが障がい者にとってビジネス、社会、経済において自らの潜在能力を発揮して活躍できるような改革を促進することを目的にしたものである。

[出典:オムロン太陽 作業風景 より]

ガバナンス ( Governance)

オムロングループは、全てのステークホルダーの指示を得て持続的な企業価値の向上を実現するために、経営の透明性・公正性を高め、迅速な意思決定を行っている。監督から執行の現場までを有機的に連携させ、経営のスピードを速め、企業の競争力の強化を図るための仕組みを構築し機能させることを重要視する。同社の取締役会は、客観性を保つため、社長C E O以外の役員8名によって構成され、監督と執行を分離し、取締役の過半数 は業務執行を行わない取締役による構成にするとともに、独立社外取締役の割合を3分の1以上としている。取締役会の監督機能を強化するため人事諮問委員会、社長指名諮問委員会、報酬諮問委員会、コーポレート・ガバナン ス委員会を設置している。

 

[出典:OMURON HP コーポレートガバナンス体制 より]

『情報共有の充実』

2020年度の取締役会への社外取締役の出席率は100%、社外監査役の出席率は96.2%(13回開催)、監査役会 への社外監査役の出席率は96.2%(13回開催)であった。同社は、取締役会の実効性向上に向けて様々な個別ミーティングが行われており、上記のような、高い出席率も達成している。具体的には、社外役員と会計監査人の意見交換会、取締役会議長面談、社外役員懇談会が挙げられる。

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