概要
ESGを踏まえたサステナビリティの実現を目指し、幅広い活動を行う丸井グループは、全ての人が取り残されずに「しあわせ」と感じられる社会の実現に向かって、インクルージョンに注目した小売と金融の一体ビジネスモデルを進化させてきた。社会の中に自然と存在する二項対立の関係を超えて、丸井グループは試行錯誤を重ねて、社会課題と企業価値の向上に取り組んでいる。2050年に向けて、社員と役員の声をベースとした「丸井グループ ビジョン2050」を掲げ、地球と共存する選択肢を提供する「グリーンビジネス」の取り組みを進めている。
環境 (Environment)
丸井グループは「サステナビリティ委員会」と「環境・社会貢献推進分科会」を設置して、環境課題への取り組みの決定、毎年の「環境方針」を取りまとめ、目標の設定を行なっている。丸井グループは関わる全てのステークホルダー、またバリューチェーンとの共創のもと成り立つという基本的概念のもと、お客さま、株主・投資家、お取引先さま、地域・社会、社員、将来世代の6つのステークホルダーの重なり合う利益(しあわせ)の調和と拡大の実現を企業の存在意義とし、社会課題の解決を目指す。そして、社員や社員の教育はもちろん、顧客とのコミュニケーションを通して、社会課題の解決に取り組んでいる。
環境面で特に重要視する3つの課題は、気候変動、資源循環、持続可能な生態系の保全である。1つめでは、CO2削減、省エネ、再生可能エネルギーの導入、2つめでは、廃棄物の削減・適正処理、サステナブルな商品開発、包装材、フードロス、水資源がキーテーマとして取り組みが進められている。3つめの生態系については、調達・自然と協調自然と共生による環境課題の解決に注力されている。
『生物多様性に配慮した土地利用』
丸井グループは、小売りビジネスとして、日本全国にマルイの店舗を構えている。この土地利用に対して生物多様性の保全にとどまらず、事業を通した地球温暖化対策や、環境教育の実施を行なっている。その取り組みの一環として、中野マルイ、新宿マルイ本店、千住ミルディスでの活動に注目できる。
中野マルイでは、店舗屋上の西側に広大な緑の広場を作り、利用客の憩いの場を提供するとともに里山や水辺環境を取り入れたビオトープを設け、様々な生態系が共生できる環境を作った。ここは2013年から「公益財団法人 都市緑化機構」によって「都市のオアシス」に認定されている。新宿マルイ本館では、屋上に本格的な英国庭園を設置している。この場所も、社会、環境貢献緑地として「都会のオアシス」として、中野マルイに続いて小売業初となる二ヶ所目に認定された。千住ミルディス(千住マルイ)の屋上にも、芝生や季節の植物が配され、利用客の寛ぐ場所として提供されている。
社会 (Social)
誰も置き去りにしない、すべての人の「しあわせ」を考える丸井グループは、いかなるステークホルダーとも共創をしていくこと目指している。丸井グループが構築した2050年の世界は、あとの3つに注目している。「私らしさ」を求めながらも、「つながり」を重視する世界、世界中の中間・低所得層に応えるグローバルな巨大新市場が出現する世界、地球環境と共存するビジネスが主流になる世界である。この3つの世界の実現を達成するため、同グループは、人々の多様性を尊重している。利用客のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)はもちろん、社員のD&Iも促進する取り組みをしている。一例として、LGBT 研修、多様性を学ぶeラーニングの導入や、労働者の権利推進の一環として、「ウェルネス経営」の導入、女性、未来の活躍推進における、「女性イキイキ指数」の設定があげられる。多様性を尊重した働き方として、短時間勤務中も月4回までフルタイム勤務ができる制度や、営業時間が遅い店舗でも勤務時間を限定して働ける「時間帯限定フルタイム勤務制度」を導入している。
『ウェルネス経営』
丸井グループは、社員一人ひとりの活力を高め、イキイキと幸せを感じながら仕事ができる環境を構築するため、ウェルネス活動を強化している。グループ横断の公認プロジェクト、「Well-being 推進プロジェクト」は、社員一人ひとりが意識や行動を変え生産性をアップさせることで、企業価値向上と社会への役立ちにつなげることを目指すものである。このプロジェクトは、社員が自ら手を挙げて参加する公募制のプログラムが多くある。「レジリエンスプログラム」と言われる研修は、トップ層にアプローチしたものであり、組織への影響力が大きい役員、部長、課長層を対象に、自身と周囲の活力を高める習慣を身につけることで、職場のストレスとワークエンゲージメントを刺激することを目的としている。会社全体の67%がこのウェルネス活動に参加をし、その後の、組織における活力の向上を可視化する努力もされ、会社全体の活力向上に影響を与えている。同グループはさらに、社員の健康管理に対するアプローチも行っており、人間ドッグや、禁煙外来、メタボリックシンドローム防止の活動に取り組む運営をしている。
ガバナンス (Governance)
インクルージョン視点で活動する丸井グループのガバナンス体制は、監査役設置会社であり、すべての利用客が満足できる組織づくりに励んでいる。同グループは、これまで基礎であった5つ(お客さま、株主・投資家、お取引先さま、地域・社会、社員)のステークホルダーに加え、将来世代を加えた6つのステークホルダーに対して、平準化された、持続的な利益の積み重ねを目指し、新たな価値の創出に取り組んでいる。グループ経営を担う取締役は、半数ずつが社内と社外の役員からなり、年9回行われる取締役会は、99%の参加率である。
『ステークホルダーとの共創』
ステークホルダーガバナンスは、丸井グループが考えるサステイナビリティ課題の一つとされる共創経営の大事な基盤であり、同グループが大事とする6つすべてのステークホルダーとそれぞれ、独自の共創プログラムや活動の取り組みを行なっている。例えば、「お客様企画会議」は、顧客自身が価値創造プロセスに参画するものであったり、地域・社会との共創においては、「東京レインボープライド2021」への出展など、様々なイベントを開催したりしている。そして、2016年からは、「丸井グループ調達方針」を策定し、人権や労働環境についてアンケートや現地確認などを、取引先の関係者とプロセスを進めることで、健全で透明性が高く、収益力のある効率的な経営を推進している。