KDDI ESGの取り組み

概要

通信事業会社のKDDIは「KDDI Sustainable Action」を策定し、命、暮らし、心を「つなぐチカラ」を持続可能な未来のための貢献に役立てている。KDDIのマテリアリティとして、6つの重要項目を定め、環境、社会、ガバナンスのESG経営の基盤にも起用している。環境面では特に強みである、エネルギー分野での取り組みに力を入れ、社会面ではKDDIの基礎事業でもある通信における経済発展やリスクマネジメントの強化、労働環境の向上などを目標としている。ガバナンスでは、透明性と公平性を実現しながら、「通信とライフデザインの融合」を図る。

環境(Environment

グローバル企業であるKDDIグループは、地球環境保護の促進によって次世代に地球を引き継ぐことが責務であると考え、サステナブルな地球を実現するために、「KDDI GREEN PLAN 2017-2030」を策定し、2030年までの長期的な目標の設定や、具体的な取り組みを取り決めた。特に2050年までに二酸化炭素排出量の実質をゼロにする目標は最大の課題であるとしている。策定された長期的な目標は、主に気候変動対策、循環型社会の形成、生物多様性保全の3つの視点から成り立ち、ゼロエミッションや地球の平均温度の抑制に取り組んでいる。行われている様々な活動の例としては、携帯部品のリサイクルや、従業員による全国各地の環境保全活動への参加、省エネサプライチェーンマネジメントである。また、2013年より国内3箇所での太陽光発電事業を開始し、発電した電力を再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を利用して電力会社に販売している。さらに、森林保全活動や、魚の養殖に独自のテクノロジー技術を用い、生物多様性保全活動にも取り組んでいる。

[出典:KDDI Sustainability Report 2021より]

『auでんき』

KDDIは、2021年9月から、再生可能エネルギー比率実質100%でCO2排出量が実質ゼロである「auでんき」の提供を始めた。調達される電力は、太陽光や水力発電などが由来の、環境価値を持つ再生可能エネルギーである。さらに、顧客から支払われる電気料金の2%は、環境保全活動に寄付される仕組みになっている。この新たなプランは、2020年政府が掲げた2050年カーボンニュートラルの社会の実現に近づくための取り組みの一つである。

『ノキアとの合同実証実験』

KDDIとノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社(ノキア)は、2021年に、携帯電話基地局の電力使用を抑えることでCO2排出量の削減を目指す実証試験の実施に合意した。この実験では、ノキアの基地局AI制御技術と基地局液体冷却技術の二つが携帯電の基地局に導入されることになった。基地局の電力消費は、KDDI全体の電力消費の60%にあたるため、この部分の省電力化が課題となっていた。そこで、季節などで変化するトラフィック量を、ノキアのAI制御技術で分析し、動的に電波を停波、発射する事で、時間帯によっては電力消費量の半減も見込まれている。そして、ノキアの基地局液体冷却技術は、従来の空冷方法よりも冷却効率が高いため、室内の冷却に使用する空調の電力使用量を削減することが可能である。

社会 (Social)

通信技術を基礎事業とするKDDIは、社会面において、情報通信の強化とプライバシーの保護、そしてICTなどの技術を駆使した新たなサービスの提供をすることで、社会の安心安全の構築に取り組んでいる。さらに、従業員に対する、多様性の尊重や働きがいのある労働環境を実現することで、従業員のモチベーションアップと企業競争力の向上に取り組んでいる。同社は主に、自然災害が頻発する国内では、通信技術の安定化と、強靭な通信環境を提供する事で、不測の事態へのレジリエントな体制の構築を図っている。そして教育や公共サービスへのアクセスを向上するなど、顧客の生活に必要不可欠なサービスの充実させることで、KDDIの基盤事業である通信を核とした社会課題と解決などの実現に貢献する事を可能としている。従業員の安全確保と心身の健康維持や増進を図るために、四半期ごとの、「社員エンゲージメントサーベイ」を実施。「働き方改革推進委員会」の設置により多様な働き方の提供を試みている。

『Te to Te』

[出典:KDDI Sustainability Report 2021より]

5G、IoTの活用を通じて、KDDIは、心豊かな暮らしの実現に取り組んでいる。同社は、5G、IoT、AIなどによるICTの革新が、地域の抱える様々な問題を解決するツールであると考え、地域の基盤により成り立つ活動の支援をしている。地域のベンチャーや企業が一体となって地域の課題を持続的に解決できるように、「地域の明日」を、共に手を取り合って支えていくように、『Te to Te』というプロジェクトで、KDDIは地方創生のサポートに貢献している。具体的な一例として、2017年から始まった「鯖、復活」養殖効率化プロジェクトがある。福井県の小浜市では、近年減少していたサバの漁獲量を復活する事でかつてあった賑わいを取り戻そうという活動がされている。2019年には、開始時の2017年と比較して3倍の出荷尾数が記録された。2019年からは、鯖の生育環境のビジュアル化のため、生簀の環境や、給餌記録をクラウドで管理し、蓄積されたデータをAIで分析し、さらに美味しい鯖の飼育方法を目指している。

さらに、地方創生の一環として、KDDIは、ファンド運営のグローバル・ブレイン株式会社とともに「KDDI Regional Initiatives Fund」を立ち上げ、地域の問題解決に意欲をもったベンチャー企業や地域の企業に対してKDDIが持つ様々なリソースや技術・ノウハウ、資金の提供をし、地域と企業の両者がサステナブルなビジネスモデルを構築できるよう努力をしている。

ガバナンス(Governance)

KDDIは、ガバナンス面において企業の透明性と公平性の確保とともに、労働者の権利、人権の尊重、公正かつ積極的なコミュニュケーションの促進を図っている。取締役監査役候補の指名、役員報酬の体型、水準については、透明性と公平性の確保のため「指名諮問委員会」と「報酬諮問委員会」を設置。また、人財の多様性を受け入れ、一人ひとりの多様な知識や経験、スキルを生かす事で、「通信とライフデザインの融合」を目指す。

同社は、法令遵守はもちろん、社会的人をはたす企業行動を徹底し、持続的な発展を図るため、「KDDI行動方針」の導入、「KDDI企業理念委員会」の設置をした。また、「KDDI 持続可能な責任ある調達方針」を施行することにより、全てのステークホルダーとの共存共栄、地球環境への配慮、公平・公正な取引、人権・労働、環境への配慮、適正な情報管理、品質と安全性の確保、社会との共生および適用範囲の8項目を定めている。

『LGBTQに対する取り組み』

KDDIは、まだ十分とは言えない人権に対する企業内の理解浸透や対応について、KDDIは啓発や制度の適応などの改正を行ってきた。2015年からは、”家族であることをご利用の条件”とする各種サービスの適用範囲を拡大し、地方自治体の条例などにより、同性とのパートナーシップ関係が公的な証明書により証明される場合、該当する各種サービスの利用を可能としている。また、2017年4月1日からは、社内規定における配偶者の定義を改訂し、同性パートナーも配偶者に含め、すべての社内制度に適用することとした。

[出典:KDDI Sustainability Report 2021より]

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