概要
大手化粧品、健康食品のメーカーであるFANCL (ファンケル)は、1980年に創業し、社会課題解決型企業として成長を続け、2018年には「ファンケルグループ サステナブル宣言~未来を希望に~」を策定したことで持続的社会の実現への貢献を表明。2023年までに達成する目標などの設定を示した、中期経営計画「前進2023」~逆境を超えて未来へ~も定義することで、グループの重要課題を摘出し、具体的取り組みなどを示した。サステナブル宣言には、グループの創業理念である「正義感を持って世の中の『不』を解消しよう」をもとに、未来の世代に影響する様々な課題に挑戦し、あらゆるステークホルダーに希望を与えることに取り組む姿勢を示している。ダウグループが示す重要テーマは、「環境」「健やかな暮らし」「地域社会と従業員」である。
環境 (Environment)
企業活動における自然環境の保全や気候変動への適応について、ファンケルは重要課題として「CO2排出量削減」「プラスチック使用量削減」「持続可能な調達」「資源循環(廃棄物対応)」を掲げ実現のための具体的目標に取り組んでいく。明確には、2050年までCO2排出量実質ゼロ化、2030年までプラスティック容器包材の4R100%、2030年までに化粧品の植物由来・再生由来プラスチックの使用率30%、2025年までに紙を使用した容器包材における環境配慮紙100%、そして認証パーム油2023年までに100%採用するなどの目標が掲げられている。
脱炭素社会を目指す上で、ファンケルグループは中でも、再生可能エネルギーへの展開に取り組んでいる。太陽光発電と風力発電については、自社が持つ化粧品工場がある滋賀県、群馬県の建物で2011年、2018年に太陽光パネルの導入を始めている。2021年には大阪の工場でもグループ拠点で最大規模となる太陽光発電設備を設置し、電力の16%を供給する見込みとされている。さらに同年静岡県の工場でも太陽光パネルの導入がされた。風力発電は横浜の一角に風車を設置していて、国内ではこの一つだが、国外では中国のモンゴル地区でも行われている。ほかにも置き場所指定配達の導入がされ再配達削減によるCO2排出量を抑制する効果が期待されている。
『従業員への環境教育』
ファンケルでは新入社員の新人研修で「環境を守ることの大切さ」を伝えるため2010年より本社所在地の水源がある山梨県同志村の森林保全活動を開始した。この他にも、環境啓発セミナーやSDGs勉強会を行っている。具体的には、社内で資源の無駄遣いを減らす活動、「グリーンチャレンジ」や、家庭でのCO2削減を即す「家庭でエコプラグラム」などを導入し、社員一人ひとりの意識に問いかける活動がある。
社会 (Social)
社会面において、同グループは主に2つのトピックについて重要課題としての意識を向けている。これらは「健やかな暮らし」と「地域社会と従業員」である。ファンケルは商品やサービスを通じて、グループは世の中の「不」や社会課題の解決を試み、持続的な社会の実券を目指している。この数値目標としては2030年までの日本人健康食品(サプリメント)の使用率50%を目指している。また、従業員のみならず、あらゆる人々に対して、同グループが強みとしているダイバーシティ&インクルージョンを推進し、社会活動を通じた誰もが輝ける社会作りを目指している。この数値目標は2023年の女性管理職比率50%と障がい者雇用率5%である。
ファンケルの製品を通じて、健康リソルーションを提案するにあたっては、顧客のニーズに応えるため、まず一人ひとりの健康状態を“見える化”する技術を用い、効果のある健康対処法を提示、取り組みの後押しを行っている。そして“体内効率設計”技術を利用した機能優位性の高い商品の開発を行う。そして顧客が使いやすさ、ユーザビリティーを実感できるように、使用性・継続性の向上を図っている。
『働き方とダイバーシティ』
従業員の健康を第一とするファンケルグループは、ノー残業デー、フレックス勤務制度、在宅勤務制度など制度面の充実のみならず、立場を理解するためのダイバーシティ研修や、育児や介護と仕事の両立についての理解促進にも取り組んでいる。特に雇用形態は、様々な人の環境や状況を加味した、柔軟な対応がされている。例えば、正社員の定年を65歳へ引き上げること、介護や支援が必要な従業員がフレキシブルに働けるよう「アソシエイト正社員」の導入などがある。また、契約社員やパート社員を「エリア正社員」として認め、休日や雇用期間などの待遇を改善し、無期労働契約に切り替えるなどの待遇を変更している。
ガバナンス (Governance)
ファンケルグループは、全てのステークホルダーから信頼を得て、経営の効率性と透明性を確保することを念頭においた基本方針を掲げている。経営体制における役割は、社内、社外の取締役の数がほぼ半数ずつになるように設定され、人気は1年定めている。「監査役会設置会社制度」を採用するファンケルグループは監査役が経営の意思決定に効率的な判断を図るため、重要な会議に参加し、経営トップとも意見交換をしながら適宜意見を述べている。
『内部統制システム』
代表取締役社長執行役員を委員長として「内部統制委員会」が設置されている。これは同社取締役と監査役を構成員とし、「財務報告部会」「企業倫理部会」「IT統制部会」「情報セキュリティ部会」が設置されている。これら各部会はリスク分析とリスクの重度管理、内部委員会への定期的な報告が課されている。内部委員会は、リスク対応状況を監視し、「コンプライアンス委員会」は、ここと連携して緊急性の高い業務上のリスクに対する方針や基準を定め再発防止に取り組んでいる。