セイコーエプソン ESGの取り組み

概要

セイコーエプソン株式会社(エプソン)は、プリンティング、ビジュアルソリューションズ、マニュアルファクチャリングなどの事業を手がけ、2021年に、グループの長期ビジョン「Epson 25 Renewed」を策定し、環境ビジョン2050年に先駆け、ビジョンやありたい姿などの、企業全体としての目標を掲げた。エプソンが取り組む社会課題には、環境負担の低減、労働環境の改善、分散型社会をつなげる、インフラ・教育・サービスにおける質の向上と、ライフスタイルの多様化がある。これらの解決に向け、会社のマテリアリティとして、「循環型社会の牽引」「産業構造の革新」「生活の質向上」「社会的責任の遂行」に力を入れる。これらを踏まえ、以前のEpson 25に対する振り返りをし、問題点や対応を話し合い、Epson 25 Renewed では、「省、小、精の技術」とデジタル技術で、人・もの・情報がつながる、持続可能で心豊かな社会を共創するというビジョンを立てた。

環境 (Environment)

環境における、エプソンの取り組みは、2050年までの大きな目標である、「カーボンマイナス」と「地下資源消費ゼロ」に向けた、中間目標に、「脱炭素」と「資源循環」に取り組むとともに、環境負担低減を実現する商品・サービスの提供、環境技術の開発を推進することを設定した。これらの環境問題対策における投資や費用の額は、2030年までの10年間で1,000億円に及び、2023年にはエプソングループ全体の消費電力を100%再生可能エネルギー化することを決め、2021年11月には国内の再生可能エネルギー化を完了した。再生可能エネルギー利用に関しては、タイの製造拠点で建物の屋上を活用した太陽光発電システムを導入したり、英国・米国の生産拠点、欧州販売本社拠点などでも2020年までに再生可能エネルギー化に成功したりと、国内に留まらない取り組みが見られる。

[出典:EPSON HP ドライファイバーテクノロジー より]

『ドライファイバーテクノロジー』

エプソンは、2025年までに目指す中間目標である、脱炭素と資源循環に加えて、「お客様のもとでの環境負担低減」、「環境技術開発」の二項目にも注目している。前者においては、低消費電力化や、生産装置の小型化などがあげられる。また、後者に関しては、会社独自の天然由来租税を使用した脱プラスチック化やCo2吸収技術などがある。中でも、ドライファイバーテクノロジーは、水を使用せずに使用済みの紙から新たな紙を生み出す技術を、世界で初めての乾式オフィス製紙機『PaperLab』がある。このテクノロジーは古紙リサイクルなどの、これまでの常識を変え、革新的な紙再生技術であるのに加え、水を使用しないで紙を繊維化する技術のおかげで、水資源の消費削減にもつながっている。

社会 (Social)

エプソングループは、ESG経営における社会面の取り組みについて、ステークホルダーとの信頼を構築する取り組みをはじめ、顧客の満足度を追求すること、サプライチェーンにおける健全さかつ高品質の追求、そして、地域社会に根差した活動を通じた社会との共生を目指している。中でも、経営基盤となる従業員の人材開発、全ての人の人権尊重や健康経営には力を入れている。ステークホルダーエンゲージメントにおいては、それぞれに社会価値、環境価値、そして経済価値、を提供し、持続的な競争力、企業としての強靭性を作ることに加え、信頼関係の構築に取り組んでいる。また、社会貢献活動においては、経営理念、「世界の人々に信頼され、社会とともに発展する開かれた、なくてはならない会社でありたい」に沿って、世界各地で、地域性に伴った活動により、社会との共生を進めている。様々な取り組みがある中、日本では、計113名の社員が、2019年の台風被害にあった千曲川でボランティア活動を行ったり、世界各地でも、コロナウイルスによりこれまでの活動が困難となった中、困っている子供たちに家庭学習用ノートパソコンを寄贈したり、老人ホームでマガジン紙の作成と発行をサポートしたりする取り組みが行われた。

『人づくり』

エプソンでは、社会面における取り組みについて、人づくりに注視している。人材の育成から、ダイバーシティの推進、人権の尊重、職場環境づくり、健康経営や労働安全衛星など幅広い課題に取り組む姿勢がある。人材教育では、リーダー層の研修をはじめ、新入社員の教育や若手社員の海外派遣を積極的に進めている。また、ジェンダーギャップの解消にも努めており、女性活躍推進やベビーシッター補助、評価制度における時間規制の撤廃などがある。人権の尊重においては、パワーハラスメントの防止研修実施、アンガーマネジメント研修を行いパワハラにならないコミュニケーションスキルを学ぶなどの取り組みがある。その他にも、ワークライフバランスを促進する取り組みとして、育児や介護休暇を取り入れ、女性の育児給食取得率は100%となった。また、家族見学会などで、子供たちがプリンターを利用したうちわづくりや、時計の部品組み立て、社員食堂の利用を実施することで、家族でエプソンを理解する機会を作っている。

[出典:EPSON 働きやすい職場環境 より]

ガバナンス (Governance)

エプソンのガバナンス体制は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図るため、監査等委員会設置会社を採用し、透明・公正かつ迅速に意思決定を実現することを目指している。

取締役会は、適切な内部統制の下で効率的な業務実行を行うため、「内部統制システムの基本方針」を定め、コンプライアンスやリスク管理などのために運用状況を管理する役割がある。原則、取締役会は、5名の社外取締役を含める11名から構成され、毎月最低1回、また必要に応じて随時開催されている。取締会の審議項目は、ガバナンス、資本政策、コンプライアンス、リスク管理、メガトレンドと中長期的な戦略の審議などをはじめとする重要度の高い議案に限定している。

[出典:EPSON HP 長期ビジョン 2025 Renewed より]

『取締役会実行性評価』

取締役会は、コーポレートガバナンス 基本方針に基づいて、毎年全体の実効性について、分析や評価を行っている。この実効性評価は2〜3月に実施され、分析と課題の抽出は4〜5月に行われる。その後、課題開示が6月にされ、取締役会での中間報告において課題に対する対応などが10月から翌年の2月でまとめられる。

 

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